[dropcap]長[/dropcap]年に渡って僕の勉学・研究・生活の場となっていたジャワーハルラール・ネルー大学(JNU)の数ある特徴のひとつは言語教育であり、言語文学文化学部(School of Language, Literature and Culture Studies)では、インドの言語を含む、世界各国の言語とその文学を学ぶことができる。ちゃんと日本語学科(Centre for Japanese Studies)も存在する。日本語教育においては間違いなくインドのトップであり、日本語を上手に使いこなし仕事をしているインド人の多くはJNU卒である。
JNUの日本語学科では毎年、日本をテーマにした「文化祭」が行われている。デリーで日本語を学ぶインド人学生たちによる日本語劇、生け花や折り紙のワークショップ、日本文化に関する展示、日本食が食べられる屋台など、盛況である。
ただ、多くの学生は、日本語を学んでいると言っても、日本と直接接点がなかった人たちばかりであり、彼ら自身で「文化祭」を企画・運営するのは難しい。そこで、JNUに留学している日本人学生が何らかの形で支援をするのが常である。そもそも「文化祭」第1回の成功は、当時JNUに留学していた日本人留学生たちの尽力に依るところが大きく、それがその後恒例のイベントとなる上で決定的な原動力となった。
僕もJNU在学中、「文化祭」に手助けをして来た日本人である。毎年様々な役割を任されたが、今でも強く印象に残っているのは、「かぐや姫」の舞台劇を指導したときのことだ。